Dolce
朝、目が覚めると虹色の小さな箱が枕元に置いてあった。
(クリスマスじゃあるまいし…)
死々若丸は心の中でぼやきながら、リボンを解き、中を確認する。
鈴木にしては珍しく、大人しいピンクのチョコレートケーキだった。
全て手作りしたのであろうが、職人顔負けな紅薔薇の飴細工が乗っていた。
(甘い…)
ご丁寧に添えてあったフォークで口にする。
…半分ほど食べたところで鈴木が起こしにやってきた。
「おはよう!あ、死々若〜布団の上で食べたらダメだろ?めっ。」
「美味しい。」
「ありがとう。朝ごはんもちゃんと食べてくれよ?」
「…鈴木。」
そう小さく呼んで、かがんだ彼に唇を寄せた。
お互い頭に手をまわして、深めのキス。
「…ストロベリーチョコレート味だ。」
「オレからのバレンタインだからな。」
「ふっ…ありがとう、若。」
そう言って、静かに布団の中へ二人で潜りこんで行った。
END.
******************************************************************
こんなことされて、鈴木はここまで冷静でいられないんじゃないか。
…というツッコミは無しでお願いします。
2012最初の更新でした。