ある晴れた日に




ある晴れた日に、死々若は小さくなって縁側で寝ていた。
誰が通りかかるわけでもない、その縁側は、日当たりも良いが今の時間は庭の木が木陰を作って、ちょうど良い日差しが差し込んでいた。
この季節のこの時間は、いつもお昼寝の時間であった。

_気持ちいい

そう、顔に書いてあるかのようだった。
死々若は普段の荒い気性からは想像できない、穏やかな表情をしていた。

しばらく経ってから、早々と買い物に行っていた鈴木が戻る。
基本的な家事は鈴木がこなしていた。
死々若は普段は自分の修行以外何もしない。
しかし、魔具や魔薬を開発する鈴木には、料理などの細かな作業は修行とも言えるのであろう。
同じ屋根の下に暮らす死々若に不満を漏らしたことはなかった。

だが、この日は珍しく死々若に不満の声を上げた。

「死々若、もぅ日陰がなくなっている。このままでは美しい顔が日に焼けてしまうぞ。」

そう言って、音もなく額に口づけすると、何もなかったかのように台所へと向かって行った。
死々若は、薄いぼんやりとした意識の中で、鈴木の翠の瞳を思い出していた。
自分を慈しむように見つめる、その目を。





END
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サイト復活後、初の鈴若小説です。
このサイトでは、基本、甘甘な感じで進んでいきます。