il bacio




ジュンは、部屋に上がって来て、机の椅子に座り、赤面した顔を抑える事ができなかった。

「なんであいつら、あんな事やってんだよ!」





ジュンは勉強の合間に、台所にお茶を淹れに行った。
…がその時に、鏡の部屋から誰かの気配がして見に行った。


もし、水銀燈が顔を覗かせていたらどうしよう…


そんな不安を裏切って、その部屋に居たのは双子のドールズだった。
翠星石の前に蒼星石が立ちはだかり、こちらからは翠星石の少し困ったような顔が見てとれた。


声を掛けようか…。


その時、蒼星石が翠星石にキスをした。


翠星石は恥ずかしがっているようだったが、初々しく蒼星石の腰に手を伸ばして撫でている。
蒼星石はというと、翠星石の長く美しい髪を撫でながら、首を傾げてキスをどんどん深いものにしていった。





ジュンは見ているうちに心拍数がどんどん上がり、居ても経っても居られなくなった。
物音を立てないように気をつけながら戻ることができただけでも、十分冷静だったと言えるだろう。

まだドキドキが止まらない。
いつもは、「マスター」と忠実に寄ってくる蒼星石。
普段は、「このチビ人間!」と口の悪いが、時々可愛い一面も見せる翠星石。

薔薇乙女である二人の歴史は長かったのだろう。

そう思う事にした。


END
*******************************************************************************************************
わんこ牧場、初の蒼翠小説です。
いやぁ、百合も楽しいですねぇ←オッサン
ボーイッシュ×フェミニンが好きなので、この二人は最高に萌えです。
多分、冷静な蒼い子だったら、ジュン宅でキスなんて始めないと思うのですが、
あえて、ジュンに見せてみました。(何)
il bacioとは、イタリア語で「キス」です。