Il bacio



「ところでイルミ、南の島なんてどう?」

「…はぁ?」


_この男は何を言っているのだろう。


さっきまで「青い果実が実るのを待つよ」とか変態丸出しな発言をしていたのに。
そうイルミが怪訝に思っていることなど、気付いてるのだろうが全く気にせずにヒソカはイルミの折れていない方の手を引いて歩き出した。


_別に痛くないのに。ヒソカは紳士でも気取りたいのだろうか。


そこまでまた思考を廻らせてから、自分の少し先の未来を案じた。
南の島とやらに行くとなると、場所によっては飛行船で何日か時間を要する。

ハンター試験のために休みは多めに取っておいたが、残りの休みは寝ていたかった。





「初デートだね♪」

ヒソカは子供っぽくはしゃいでいる。
わざとなのか素なのか。
ご機嫌なヒソカのプランを曲げるのは難しそうなので、南の島までの移動中は寝る事を条件に着いて行くことにした。

ハンター協会を出てすぐに路地裏に連れて行かれた。
そこですぐに上半身と頭を固定されての口づけ。

「…何?」

「試験が終わるまではダメかなと思ってたけど、終わったから記念に♪」

「ふぅん」

これからの旅が思いやられるイルミだった。


END.

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初ヒソイル。
…と言いたいところですが、実は処女作品ではないのです。
10年以上前からヒソイルが好きで、30巻を見てヒソイル熱に再度かかった次第でございます。
コミックス派の私なので、まだ原作で私服のイルミを見ていないのですが、楽しみにしながらヒソイル活動も頑張りたいと思います。

これは「il bacio」というイタリア語になぞらえて、二人の初キスを描いてみました。
ヒソカならイルミが嫌がっても一瞬でキスしちゃいそうですけどね。
紳士なヒソカが好きなので我慢させました。