Canto di gioiello


僕たちの同棲生活は順調に進んでいた。
当初の予定とは異なったが、イルミも、イルミの両親も納得の上なら気も楽だ。
生活リズムと言えば、僕が朝ごはんを作って一緒にサラダやトーストをかじってからイルミが仕事に行く。
朝に食欲の出ないイルミに食べさせる習慣をつけさせるまでが大変だったけど、僕のスープを気に入ってくれたからいいや。
ああ、まずは毎朝スープを飲むところから始めたんだ。
コンソメオニオンにかぼちゃのポタージュ、暑い日はジャガイモのビシソワーズ、
寒い日はポークスープ(ジャポン語では豚汁だっけ?)、トマトスープや、そのアレンジ等々、僕のスープの幅も広がったよ。

昼間は大体個別に過ごしたり、休みの日は街に出かけたり。
夜はもちろん、できるだけ愛し合うよ。くくく。
逆に、僕が居ない時はイルミも料理をしてくれるよ。
夜中に帰って来て、トマトクリームパスタが、麺とソースそれぞれ温めるだけになってたのは感動したなぁ。
だから、彼が掃除機や洗濯機の使い方がわからなくても、全然平気。
喧嘩もほとんどないしね。
意外かい?
僕たちは結構相性がいいのさ。





そんなイルミにも、1つ困った癖があってね。





ある日、子猫を連れて帰って来たんだ。

すごく弱くなっていたんだけど、イルミが慣れたように世話するものだから、1週間かからず元気になったんだ。
その猫が今どうしてるかと言うと、まだ僕らの家に居る。
広い家だから猫1匹なんてどうでも良かったんだけど、この3カ月で猫が2匹、3匹と増えて、犬も小さいのから大きいのまで8頭かな?
どこから拾ったのか、インコはもちろん、カメも居るよ。くくく。
今では"イルミのペット専用部屋"もあるんだ。
僕、ペットなんて興味ないし、その世話のために新しい執事を雇ったくらいだよ。

二人の生活のはずが、執事や動物たちに囲まれての暮らしになった。





そして、昨日は小さな小さなカエルを拾って来たんだ。


「ヒソカ、これも飼うから。」

「ん?何も居ないじゃないか?」

「これ。」


そう言って、イルミの右手に収まっていたカエルは部屋を跳び回り始めた。
その光景に僕の中で何かがはじけちゃったんだ。


「ねぇイルミ?こんなにペット飼ってどうするの?君が付きっきりで世話できないなら、飼うべきじゃないよ。」

「世話は執事の仕事だろ?」

「カエルなんてわざわざ飼わなくても、池に行けばいっぱい居るじゃないか。」

「じゃあ、ヒソカはこいつが家の周りにずっと居たの知ってたの?」

「ええ?」

「玄関の塀にずっとへばりついてるんだ。家に入りたいんだよ。」

「…カエルがそんなこと考える訳ないだろ?」

「家は広くて部屋もいっぱいある。ヒソカ、君は一体何が不満なんだい?」

「イルミ、本気でそれ言ってるの?」

「ああ。オレには君の考えが分からないよ。」


部屋に僕たちのオーラが広がって、奥の部屋のペット達が騒いだのをきっかけに、イルミは殺気を止めた。
「大丈夫だよ」動物たちにそんな事を言ってるのが聞こえた。

僕は、動物以下なのかな。





朝、キッチンのカウンターを見ると、リンゴに挟まって「帰る」と一言、イルミの字で書いたカードがあった。

帰りたければ帰ればいい。
イルミはどうしたってゾルディックなんだ。






僕じゃダメなのかな。











3日後、ゴンとキルアが遊びに来た。
二人とも、仕事を片付けて都合を合わせて来てくれた。


「「おじゃましま〜す。」」

「やぁ、よく来てくれたね♪」


ゴンは広いリビングに大興奮で走り回っている。
キルアは豪邸なんて見慣れてるのか、ソファに我が物顔で座っている。
こんなところは兄弟そっくりだね。


「なぁヒソカ、なんでこんな高級家具に囲まれた部屋にカエルが居るんだ?」

「へ?」

「ゴンが喜んで落ちつかねぇじゃねーか。」

「…ああ、あのカエルか。」


そう言えば、放り出すのを忘れていたよ。
そうか、ゴンはカエルに喜んではしゃいでるのか。


「ねぇヒソカ!イルミは?」

「イルミは仕事だよ〜(嘘)」

「嘘だな。さっき、ここ来る前にメールしたんだけど。」

「んん〜♪分かってるなら言わないでおくれよ〜」

「???…じ、じゃあ、奥の動物とも遊んでいい?」

「ああ、いいよ〜♪」


ゴンはイルミの拾って来た動物たちにも大興奮で、犬、猫をあっという間に手なづけて、庭で猫じゃらしを片手にフリスビーをしている。
キルアはそれを幸せそうに見ていた。
………。


「ねぇ、君はなんで動物に嫉妬しないの?」

「はぁ?逆になんで動物に嫉妬しなきゃいけねぇんだよ。」

「だって、イルミが動物ばっかり拾って来て、せっかくの二人暮らしなのにさぁ〜」

「年寄りみてぇに愚痴るなって。でも、おかしいな。イル兄は動物別に好きじゃなかったはずだけど。」


それは意外な答えだった。
あんなに拾って来て置いて、動物が好きじゃない?


「じゃあ、どうして…。」

「寂しかったんじゃない?」

「へ?」

「動物は一度人間に懐くと、人から離れないからね。どっかの誰かさんがイルミを置いて出て行っちゃったから、寂しいんだよ!」

「んなっ、オレのせいかよ!?」

「さぁね〜ふふふふふ♪」


ゴンの言葉に僕はハッとしたよ。
そう言えば、イルミが動物を連れて来始めたのは、僕が家を空けるようになってからだったよ。
お気に入りの玩具のストックを探しに出かけるのが、僕の楽しみでね。
ハンターの仕事の時もあったけど、そんなの稀だし。
…と言うか、きっとイルミは仕事で居ないのは納得できるけど、それ以外で長期間帰らないのが気に入らなかったのかもしれないね。


「キルア、お家に一緒に行かないかい?イルミを迎えに行くよ。」

「…ちぇ、仕方ないな。ゴンは?」

「いいよ!」


久しぶりに里帰りしたキルアとイルミのために御馳走が出て、一晩泊まることにはなったけど、翌日からまた二人の甘い暮らしが始まったって訳♪
あ、動物たち?
あんまり数が多いから、ククルーマウンテンに半分くらい置くことにしたんだ♪





END.
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6月くらいに書いていたのをUPし忘れていました。
執着しているイルミさん。
タイトルについてですが、 ジュエリーソングはさっぱり勉強してないので、内容とマッチしているかは実は分かりません←
ただ、あれこれと宝石を眺める女性とペットを過剰に愛するのは何だか似ていると思います。