もし小さな花になれたら
機嫌の良いロールパンナ。
一人、晴れた花畑に来て、小さな花たちを眺めていた。
いつもはメロンパンナを連想する、黄色い花。
それが最近は、常にアンパンマンを重ねてしまっていた。
満月を見ていてもそうだった。
_アンパンマン
自分の気持ちに目覚めてから幾日過ぎた。
「恋煩い」という言葉を、ロールパンナは知らなかったが、自分はアンパンマンを好き過ぎて、病気なのではないか?とも思っていた。
心が膨張したような気分だった。
頭がぼーっとするし、何も手に着かない。
毎日、適当に過ごしていて、でも充実していた。
物想いに耽っていると、メロンパンナが現れた。
「ロールパンナおねえちゃん!」
「メロンパンナ…」
ふと、ロールパンナは、メロンパンナにこの思いを知られてはならない…と思った。
「久しぶりだね!元気だった?」
「ああ」
「今日はね、おねえちゃんにお花を持ってきたの。
これ、見て?キレイでしょ〜?白くて、まるでロールパンナおねえちゃんみたい!」
「私?」
メロンパンナが持ってきたのは、白い菫だった。
こんなに小さな花だったら、アンパンマンのポケットなんかにこっそり入って、いつも一緒に居られるのに…。
「おねえちゃん?」
ロールパンナの目には涙が滲んでいた。
END
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恋する乙女、ロールパンナ。
「もし小さな花になれたら」は、Pucciniのオペラ、処女作の「妖精ヴィッリ」作中の歌です。
旅に出る恋人に、「もし私が小さな花なら、あなたと一緒に行けるのに」という歌詞と、
幻想的で、また明るくときめく音楽が魅力の歌曲です。
大好きな人とは、いつも一緒に居たいものですね。